夏のひとりごと

世間では「大人」と言われる年齢にもなったし、社会人にもなった。けど、わたしはまだ自分が大人だとは思えない。今日は、そんな大人と子供の話。

 

 

 

 

 

学生時代、本気でわたしたちが訴えれば大人たちは味方をしてくれるんだと身をもって経験した出来事がある。

 

 

 

2020年の話になるが、コロナ禍になり部活動が2日に1回しか出来ない状況になった。けど、吹奏楽部だったわたしは、本番まであと数ヶ月しかないのに、曲の進捗状況がとてつもなく悪いことを理解していた。もちろん、今年の状況を鑑みて曲目を少なくしていても、やっぱり毎日練習出来ない、という大きな力には負けてしまうのだなと痛感していた。そこで、顧問の先生に直談判をし、どうにか本番までの最後の1週間だけでも毎日練習させてくれないか、と掛け合った。

 

 

最初は反対された。そんな特別通用する訳無い、と。その通りだと思った。だけどどうしてもその頃の私たちに足りないものは圧倒的に練習時間だった。何度もお願いした。顧問の先生は、掛け合うだけ掛け合ってみる、と答えてくれた。でも、期待はするな。と。

 

 

 

そこから数日、いつも通り2日に1回の練習で曲の完成度は進んでは後退を繰り返していた。ある日、部活終わりに顧問の先生から呼び止められた。「最後の1週間だけ毎日練習出来る様になった。」という報告だった。嬉しかった。わたしの情熱が伝わったんだ!と喜んだ。

 

 

 

無事に最後の1週間毎日練習出来たお陰で、本番は何とか、納得する完成度まで持っていくことが出来た。本番後、ステージの片付け等が終わり、手伝ってくださった色んな先生へ挨拶は回っていた。その時、ある先生から、

「毎日練習出来るようになったの、顧問の先生がかなり頑張って主事を説得させたからだよ」

と伝えられた。その時、自分の情熱が伝わったんだ!と喜んでいた自分が恥ずかしくなった。

 

 

自分の力じゃ叶うはずなかった現実を、顧問の先生は叶えてくれた。わたしの代わりに、偉い人を説得してくれた。自分がいかに子供だったかを突きつけられたと同時に、大人の強さを感じた。

 

 

学生だったわたしたち子供は、ひとりじゃ何も出来ない無力さを感じ、そして、沢山の大人に守られて過ごせていたんだ、と今になって思う。

 

 

大人になりたくない、そう毎日思っている。だけど、そろそろ守られる立場から守る立場に変わっても良いんじゃないかな?そんな風に思ったある夏の夜。

 

 

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