ここがわたしのアナザースカイ〜vol.2〜

前に同じタイトルでブログ書いていたので、慌ててそれっぽくvol.2とか付けてみる。

 

 

 

わたしには、忘れられない経験が幾つかあるのだけれど、その中のひとつの話をしようと思う。

 

 

 

 

 

 

それは去年の10月末の話。

 

そのとき、わたしは就活生であり、部活の最後のステージがあり、卒業研究の中間報告の佳境であった。死ぬほど追い込まれていた。

 

就活は、わたしの受ける試験が11月中旬にあるので、そこまで勉強しなければならない。でも、クラスメイトは5月くらいに就活を終えていて、残ってる人がわたし含め2人しか居なかった。だから、教室の中も浮ついていて、その中でさえ勉強し続けるのは苦しいのに、解いても解いても試験勉強は終わらない。試験範囲が終わらない。絶望。

 

部活もある。11月3日に最後のステージがあった。わたしの我儘で、大きなホールに立たせて貰う。だからこそ蔑ろには出来ないし、したくない。そして、わたしがずっと夢に見ていた曲のソロをする。絶対に上手く吹きたい。でも、気持ちばかりが先走って楽器を吹くことさえ上手く出来なくなってしまった。

 

 

研究。これは言わずもがな。好きなことではあるけど、単純に時間がかかる。ひとつの実験をするのに半日は使う。

 

 

 

そんなこんなで、研究中に、受けた試験が落ちてしまって、もう後がない状況になった。そんな時に周りから「本当にどうするつもり?」と言われた。もちろん、心配して言ってくれているのは分かっている。誰よりも優しい人だったから。でも、その言葉と、周りにいる人たちの目が同情と憐れみに満ちているように感じてしまって、涙が止まらなくなった。人前でなんて泣きたくなかったのに。人前で泣かない為に、夜ひとりでずっと泣いていたのに。

それに加え、部活の練習で、校内で1曲演奏することになった。その曲は、後輩とのソリ(ソロの2人バージョンみたいな)がある。当日、後輩は上手に吹けていたのに、先輩のわたしは全く楽器に息が入らなくて空回りして、上手く吹けなかった。悔しかった。練習では上手くいってたし、本番も何回も経験してるからそんな失敗しないと意気込みすぎていたのかもしれない。

 

 

そんな負の連鎖が永遠に起こっていって、どんどん海の底へ沈んでいってしまって、息苦しくなってしまった。どうしても頑張れなくて、その日午後は学校をサボった。

 

 

 

 

 

サボった、といっても苦しくて家に帰ったらベットで泣くだけだと思っていたので、どこかへ行きたくて、近所の銭湯へ行くことにした。その日、初めて1人で銭湯へ行った。いつもは、家族や友達と行くのだけれど、靴箱に靴を入れるとき、銭湯へ入るためのチケットを買うとき、脱衣所の暖簾をくぐるとき、自分1人でやっているのが、なんだかはじめてのおつかいみたいな気持ちになってワクワクした。そこから身体を洗って湯船に浸かる訳だけれど、せっかくだから1人でサウナに入ろうと思って扉を開いた。そこには先客の2人のマダムがいた。銭湯のサウナにはテレビが付いてるんだけれども、そこで流れていたのはグランピング施設の特集だった。コロナ禍でもあり、少人数で楽しめる施設!みたいなやつだった気がする。テレビをぼーっと見ていたら、1人のマダムが話し掛けてくれた。

 

「お姉ちゃん、旅はしたことある?」

 

 

最初、まさかわたしに話し掛けてくれるなんて思ってもみなかったのでえっ、と聞き返してしまったけど、マダムは優しく話始めてくれた。彼女がまだ少女だったときのこと。青春18切符を使って旅をしたこと。これからまだまだ先は長いから好きなことをしなさい、と諭してくれたこと。

 

 

 

 

 

 

まるで、わたしが落ち込んでいたことを知っていたかのように。

 

 

 

 

 

その話を聞いて、わたしは思い出した。研究も、大好きな分野だったし、大好きな先輩だったこと。その先輩はいつもわたしを気にかけてくれていたこと。部活だって、わたしは何よりも楽器を演奏することが大好きだったし、部活のみんなはわたしが失敗して落ち込んでたとき、沢山励ましてくれたこと。自分の強い思い込みだけで沈んでいっていたんだ、と。

 

 

 

 

 

 

そう気付けたわたしは、次の日から前を向いて全てのことに向き合えるようになった。そこから全てが良いように進んでいった気がする。全ては気の持ちようかもしれない、なんて今になったら思うけれど。

 

 

 

 

 

 

 

そんなマダムに出会った銭湯が閉店してしまう。間違いなくその銭湯はわたしにとってのターニングポイントであり、アナザースカイであった。感謝の気持ちを込めて、また、あのマダムに会えたら良いな、なんて思いながら閉店するまでのあと少しの期間、1回は足を運ぼうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アナザースカイが終わってしまう前にこのブログを書き上げられて良かった。