尊 は 尊 でも食べられない 尊 はなーんだ?

A.そんなものはない。

 

 

アルバイト先の好きな先輩がいた。

その先輩は、たまたま同じ学校で、同じ学科だった。わたしより3つ年上。

 

初対面は半年くらい前。いや、実はもっと前。確実に認識したのが半年前。学校ではほぼ関わりがなかったからだ。わたしは出席番号が遅くて、その先輩は少し早いからだ。なので、同じ学校であるにも関わらず初対面はアルバイト先。

 

初対面の日に、ごみ捨てをする為に台車にゴミ袋やダンボールを溢れながら乗せ持って行っていると、「手伝いますよ」と言って、颯爽と溢れている分以上に持って先を歩き始めたのだ。こんな人がいるのか、と人生で初めての経験で驚いた。

 

その後は、学校の文化祭でわたしがバンドでステージに立つから良かったら見に来てください、と言うと「行けたら行きます」と行っていたのに、聴きに来てくれた。しかも、わたしたちの番のときだけ前の方に。「行けたら行く」は行かないやつじゃないのか!行間だろ!と思った。巷で話題の「Pretender」を含む数曲を演奏したのだが、「Pretenderとっても良かったよ」と言ってくれたから、流行には遅れをとりがちなわたしがPretenderを大好きになった。俵万智さんの気持ちがよく分かった。こういうことか。(サラダ記念日)

 

先輩は面白い。いや、とても真面目。アルバイトでは年下年上関係なく皆敬語じゃないといけないから先輩はわたしに対しても敬語を使う。だけど、学校の中で会う時はただの先輩と後輩だからわたしに対してタメ語で話す。そのときのギャップが大好きで、いつ学校で会えるかドキドキしていた。

 

文化祭が終わってからはなんだか恥ずかしくて、こそばゆくてアルバイト先でもあんまりお喋り出来なかった。不甲斐なし。

 

先輩は今年卒業し、来月から社会人だ。わたしは来年就活生だ。進路について悩んでいた11月頃、1番なりたくなかった職業に就くことになった。だけど、その決断をすんなり受け入れられたのは、その先輩が来月からそこに就職するからだ。絶対嫌だと思っていたけど、そこに先輩がいるならいいか、と思えた。

 

そんな先輩と先週最後のアルバイトが一緒だった。先輩は最後に言った、「また一緒に働けるのを楽しみにしてる」と。

 

この一言でわたしはどんなに救われたか。本当に嬉しかった。頑張ろうと思えた。

 

だから必死にこの1年間を、いや、半年間を過ごすことに決めた。

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